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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)940 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人森岡三八の上告理由第一点について。

論旨は要するに、まず、原審は旧建物の取毀後その跡地に新築された本件建物に

ついて、その新築後、当事者間において新たにこれを目的とする根抵当権の設定お

よび条件付代物弁済の特約が成立した旨を認定するが、かかる証拠は絶無であると

いい、また、本件建物に存する根抵当権設定登記および停止条件付所有権移転請求

権保全の仮登記は、いずれも昭和二八年二月一〇日付契約を原因として登記されて

いるが、右は旧建物についての契約を指すものであつて本件新築建物についての契

約ではなく、この点は前記登記を経由するにあたり登記官吏に提出された甲第四号

証の記載によつても明らかであり、したがつて、からに原審認定のごとく、本件建

物の新築後、当事者間において新たな特約が成立したとしても、その登記がない以

上、被上告会社はその権利の取得をもつて上告人に対抗しえないというのである。

しかしながら、原審は所論主張のごとく、本件建物の新築完成後これを目的とす

る根抵当権設定および条件付代物弁済の特約が新たに成立した旨を認定したもので

はなく、訴外Dにおいて旧建物を取り毀ち、その跡地に本件建物を新築するにあた

り、債権者たる訴外F信用金庫との間で、その新築建物をもつて旧建物に代え、昭

和二八年二月一〇日付契約に基づく債務のため新築建物に根抵当権を設定するとと

もに、その債務を弁済しないときは右建物を代物弁済として同金庫に所有権を移転

する旨の特約がなされた旨を認定したものであつて、右認定はその挙示の証拠によ

り十分これを首肯することができる。また原審は、前記各登記は本件建物を目的と

する右特約に関する権利の登記であつて、その登記原因の日付は真実にそわないも

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のがあるが、その故にこれを無効と解するのは相当でないとしたものであつて、前

記事実関係の下においては、その判断は正当というべく、本件建物につき右登記を

経由するに際し、甲第四号証が登記官吏に提出されたとする所論の理由なきことは、

同号証の記載自体に照らして明白である。

以上、原審の認定および判断には所論のごとき違法はなく、論旨はすべて採用し

ない。

同第二点について。

論旨は、債務者たるDとその弟Fと被上告会社と謀議の上、上告人の債権の踏み

倒し策として被上告会社において本件建物の所有権を取得したものであつて、右は

民法一条の精神に反しまた公序良俗に反するというのであるが、原審はかかる事実

は認めえないとして右上告人の主張を排斥したものであり、原審の認定および判断

にはなんら所論のごとき違法は認められない。論旨は採用しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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